雨武主神社|あきる野市雨間の神社

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雨武主神社|飛騨内匠後藤三次郎彫刻の本殿

雨武主神社の概要

雨武主神社は、あきる野市雨間にある神社で、武蔵国雨間でした。雨武主神社の創建年代等は不詳ながら、天正年間(1573-1592)に小田原北條家の家臣石川土佐守より社領の寄進を受けたといいます。江戸期には雨武主明神社と称し、雨間村の鎮守として祀られていました。当初は山麓に祀られていましたが、明治42年現在地へ遷座しています。現本殿は、嘉永2年(1849)に再建されたもので、飛騨内匠後藤三次郎が彫刻、あきる野市有形文化財に指定されています。

雨武主神社
雨武主神社の概要
社号 雨武主神社
祭神 天御中主命、速須佐之男命、品陀別命、大気都比売命
相殿 宇祁毛智命
境内社 稲荷神社、疱瘡神社、八雲神社
住所 あきる野市雨間1941
祭日 9月9日
備考 -



雨武主神社の由緒

雨武主神社の創建年代等は不詳ながら、天正年間(1573-1592)に小田原北條家の家臣石川土佐守より社領の寄進を受けたといいます。江戸期には雨武主明神社と称し、雨間村の鎮守として祀られていました。当初は山麓に祀られていましたが、明治42年現在地へ遷座しています。現境内地は二鳥居から石階段を300段程登った山中の338坪ですが、いきいきセンターからスポーツ公園にかけての約6500坪を市に貸与、広大な社地を有しています。

東京都神社名鑑による雨武主神社の由緒

年代不詳。もと雨武主大明神と称し、明治二年十月、社号を雨武主神社と改めた。口碑によれば、天正年間(一五七三一九二)北条氏直の家臣石川土佐守所領のとき、社領若干を差し置かれた。旧社の位置は山麓にあり、寛永十六年(一六三九)再建されたが、弘化三年(一八四六)から嘉永二年(一八四九)にかけて、三八六代飛騨匠後藤三次郎が、総檜造りにて四面は精巧なる彫刻にて建造し、嘉永二年(一八四九)十一月現在の地に遷座し、明治四十二年九月、覆舎新築、従米の覆舎は改造して拝殿とした。一の鳥居は秋川を隔てて北岸上にあり、二の烏居は山麓にある。(東京都神社名鑑より)

「秋川市史」による雨武主神社の由緒

雨武主神社 雨間一九四一番地
秋川の南岸、秋川丘陵上に鎮座している。非常に珍しい社名である。もと雨武主大明神と称したが、明治二年(一八六九)十月、社号を雨武主神社と改めた。
創建年代は不明であるが、口碑によれば、天正年間(一五七三-九一)に北条氏直の家臣石川土佐守が、この付近を知行していて、社領を寄進したという。『新編武蔵風土記稿』にも、「勧請の年歴は伝へざれど、寛永十六年(一六三九)再建の棟札あれば古き社なり」とある。今もこの棟札を伝えている。
旧社の位置は山麓にあって、寛永十六年(一六三九)に再建された。その後、弘化三年(一八四六)から嘉氷二年(一八四九)にかけて、三八六代飛騨匠後藤三次郎が総桧造りにて、四面に精巧な彫刻を施して社殿を造営した。工費は九七両三分という高額なものであった。
明治四十二年(一九〇九)九月、現在の地に遷座して、覆舎を新築し、従来の覆舎は改造して拝殿とした。
一の鳥居は秋川の北岸にあって、山麓に二の鳥居がある。昔は川の中州にも鳥居があったという。社殿に掲げられた絵馬は、三つの鳥居が描かれている。
御祭神は天御中主命、速須佐之男命、品陀別命、大気都比売命(相殿)、宇祁毛智命。
例祭日は九月二十九日である。俗社号は「みょうじんさま」という。(「秋川市史」より)

新編武蔵風土記稿による雨武主神社の由緒

(雨間村)
雨武主明神社
除地、一町一段五畝廿四歩、向雨間の山上にあり、二間に三間の社なり、鳥居は川を隔て北岸上にあり、村の鎮守にて例祭六月十五日及び九月廿九日の兩日に執行ふ、勸請の年歴は傳ふれど、寛永十六年再建の棟札あれば古き社なり、西光寺の持、(新編武蔵風土記稿より)


雨武主神社所蔵の文化財

  • 雨武主神社本殿一棟(あきる野市指定有形文化財)

雨武主神社本殿一棟

創建年代は不明ですが、天正年間(一五七三~九二)との言い伝えがあります。現在の本殿は、江戸時代後期の嘉永二年(一八四九)に飛騨内匠の後藤三次郎らの手によって再建されました。江戸時代には「雨武主明神」と呼ばれていましたが、明治二年(一八六九)に現在の社号に改められています。構造は三間社・流造で、総欅造りの大変豪華な建築です。更に、柱や梁、桁など、随所に様々な文様の見事な彫刻が施され、この建物の大きな見所となっています。周囲の羽目板(壁板)には中国の故事を題材とした生き生きとした彫刻が施され、背面右側(東側)の彫刻の中には、「後藤三次郎」の名が刻まれています。建築当時から覆舎がかかっていたと考えられ、保存状態は大変良好です。幕末期を代表する極めて文化財的価値の高い建築です。(あきる野市教育委員会掲示より)

雨武主神社の周辺図


参考資料

  • 新編武蔵風土記稿
  • 「秋川市史」
  • 東京都神社名鑑

関連ページ

  • 小宮神社(滝山城の守護神三社)
    あきる野市草花字北小宮2981
  • 平沢八幡社(滝山城の守護神三社)
    あきる野市平沢449