玉井大神社。熊谷市玉井の神社

猫の足あとによる埼玉県寺社案内

玉井大神社。玉の井で眼病を快癒、井殿明神

玉井大神社の概要

玉井大神社は、熊谷市玉井にある神社です。玉井大神社は、平安京造営大夫の藤原小黒麻呂に命じられて四神相応の地を見立てるために旅をしていた興福寺の僧賢璟が、当地で眼病を患い、当地に彫った井戸(玉の井)で眼病を快癒したことから、井殿明神と称して創祀したといいます。慶安2年(1649)には社領12石の御朱印状を拝領、明治5年村社に列格、明治41年には字稲荷木下通の春日大神社をはじめ、村内にあった無格社19社を合祀、明治42年には字水押通の無格社天神社を合祀しています。

玉井大神社
玉井大神社の概要
社号 玉井大神社
祭神 日本武尊、蔵王権現像
相殿 -
境内社 -
祭日 -
住所 熊谷市玉井1911
備考 -



玉井大神社の由緒

玉井大神社は、平安京造営大夫の藤原小黒麻呂に命じられて四神相応の地を見立てるために旅をしていた興福寺の僧賢璟が、当地で眼病を患い、当地に彫った井戸(玉の井)で眼病を快癒したことから、井殿明神と称して創祀したといいます。慶安2年(1649)には社領12石の御朱印状を拝領、明治5年村社に列格、明治41年には字稲荷木下通の春日大神社をはじめ、村内にあった無格社19社を合祀、明治42年には字水押通の無格社天神社を合祀しています。

新編武蔵風土記稿による玉井大神社の由緒

(玉井村)
玉井明神社
村の鎮守なり、社領十二石は慶安二年八月四日御朱印を附らる、祭神詳ならず、古は井殿明神と呼べりと云、享保八年八月二十六日正一位を許さる、又境内を椿ノ森と稱す、その故を傳へず。
末社。牛頭天王、八幡、稲荷、天神。
別當吉祥院。本山修験、井殿山井殿寺と號す、榛澤郡黒田村萬光寺配下、本尊不動を安ぜり。護摩堂。
稲荷社四宇
一は真福寺持、一は観音寺持、餘の二社は玉井寺持。
諏訪社
玉井寺持。
浅間社
阿弥陀堂持。
荒神社
村民持。(新編武蔵風土記稿より)

「埼玉の神社」による玉井大神社の由緒

玉井神社(熊谷市玉井一九一一(玉井字稲荷木下))
桓武天皇の十四年すなわち延暦十三年(七九四)に行われた平安京への遷都は、造営大夫の藤原小黒麻呂が南都興福寺の僧賢璟に四神相応の地を見立てさせたことに基づいたものである。その地を見立てるために、賢璟は東国にも旅し、当地に滞在中たまたま目を患った。ある夜、夢に「井戸を掘って、その水で目を洗え」との神のお告げがあり、その通りにしたところ、眼病はたちまち快癒した。喜んだ賢璟は井戸の傍らに一祠を設けて井戸の神を祀り、井殿明神と称したという。これが、『明細帳』などに伝えられている当社の由緒である。
右の話に伝えられる井戸は、当社の一五〇メートルほど南方に位置する玉井寺の墓地の中にある。玉井寺は井殿山と号し、阿弥陀如来を本尊とする真言宗の寺院で、その縁起は、当社の由緒とほとんど同じであるが若干相違がある。それによると、賢璟の掘った井戸の中から二つの宝珠が出てきたため、この井戸は「玉の井」と名付けられ、宝珠の一つは寺宝とし、もう一つは寺の北方に神祠を建て、その中に祀ったという。玉井寺の縁起に従えば、これが当社の起源となる。この縁起に伝えられる宝珠のうち、一つは今もなお玉井寺で大切に保管されているが、当社に納められた方の宝珠は、いつのころか、礎石の下に入れられてしまったといい、今日では見ることはできない。
また、「玉の井」の脇には、市指定文化財の「玉井四朗(助重)墓」(年不明の五輪塔)がある。玉井氏は、武蔵七党の横山党に属し、『平家物語』『保元物語』『吾妻鏡』などにも登場する武士で、地内にはその陣屋敷も残っている。玉井四朗助重は、この玉井氏の祖と伝えられ、『郡村誌』には「往古元暦元年(一一八四)木曾義仲追討の為め右大将頼朝二弟範頼義経をして兵六万の将として上洛せしむ時(玉井四朗)助重は範頼の午の手に属せり」と紹介されている。
なお、玉井寺はこの玉井四朗の屋敷跡であり、「玉の井」は屋敷の井戸ではなかったかという説もある。この説に従って、当社を玉井四朗の屋敷の鬼門除けとして祀ったものと見る向きもあるが、現時点ではこれとても推測の域を出ない。
『武蔵志』にも記されているように、近世、当社は「椿森」とも呼ばれ、村民・領主の崇敬が厚く、慶安二年(一六四九)には社領一二石の朱印を受け、享保八年(一七二三)には正一位の神位も受けている。下って明治五年五月には村社となり、更に同四十一年には字稲荷木下通の春日大神社をはじめ、村内にあった無格社一九社を合祀し、翌四十二年には字水押通から無格社天神社を合祀した。
玉井の集落の北端に、田に囲まれて鎮座する当社の本殿は、一間社流造りで、正面上部に何種類もの花を模した美しい彫刻があり、その堂々とした面持ちには古社としての風格が感じられる。(「埼玉の神社」より)


玉井大神社の周辺図